- くまスタ
- 2019-09-30
9/25開催くまスタオープンセミナー&説明会|イベントレポート
9/26(木)に、くまもとスタートアッププログラム「くまスタ」のオープンセミナー兼説明会を熊本市国際交流会館にて開催いたしました。
基調講演のゲストには山元様をお迎えし、地域課題解決を仕事にする人やソーシャルビジネスの全国事例とともに今求められていることや、その意義についてご講演いただきました。
また、2部のパネルディスカッションでは熊本の地域課題解決に向き合う3人と山元さんでパネルディスカッションを行いました。
平日の夜にも関わらず、たくさんの方にご参加いただきました。
前日のくまコンにも引き続き、2日連続でご参加いただいた方もいらっしゃいました。
本当にありがとうございます!
第一部 基調講演/山元圭太氏(合同会社喜代七 代表)
◆プロフィール
株式会社Seventh Generation Project 代表取締役
NPO法人日本ファンドレイジング協会 理事 / 認定ファンドレイザー
NPO法人おっちラボ 理事
島根県雲南市地方創生総合戦略推進アドバイザー
日本政策金融公庫「ビジネスプラン見える化BOOK」執筆
1982年滋賀県生まれ。同志社大学商学部卒。
経営コンサルティングファームで経営コンサルタントとして5年、認定NPO法人かものはしプロジェクトでファンドレイジング担当ディレクターとして5年半のキャリアを経て、非営利組織コンサルタントとして独立。
2018年に故郷の滋賀県草津市で合同会社喜代七を創業。
「地域を育む生態系をつくる」をミッションに掲げ、滋賀県で実践すると共に、全国各地で支援を行なっている。
▼おしながき
・あなたがやりたいのはどのタイプのビジネス?
・ソーシャルビジネスとは?
・ソーシャルビジネスの限界と、強まる批判、今後の可能性
・Seventh Generation Projectの事業内容とめざすもの
ソーシャルビジネスがどのようにうまれて変化し、今後どのような可能性があるのかについて解説いただきました。
また、それぞれが「エコノミック(経済)」「ソーシャル(社会)」「ライフ(生業)」のどれかに分類されると仮定し、どのタイプのビジネスに当てはまるかを具体的な事例を元に紹介。
この部分に関しては会場の参加者それぞれが自分自身がどの比率で重要視しているかを考えている様子が見受けられました。
第2部 パネルディスカッション
熊本で実際に地域課題解決や地域づくりなど、ソーシャルなことを仕事にしている3人に「なんのために、何を実現するためにやっているのか?」「どうして続けられるのか?」課題解決や地域づくりを仕事にし続けるために、実現したい事も、手段も違うタイプの方々に、それぞれが大事だと思っていることをお聞きしました。
阿蘇さとう農園/佐藤智香氏
阿蘇市出身。プロダクトデザインを学び、関西で就職。H24年7月の九州北部豪雨災害後にUターン。H26年から就農。「阿蘇タカナード」の販売を開始。阿蘇地域にしかない伝統野菜「阿蘇高菜」の種子を活用したマスタード加工品を中心に、阿蘇にしかない資源を活用する事業を展開している。
元々は漬物用の野菜である阿蘇伝統の野菜「阿蘇高菜」は収穫に適した期間が3日しかないのに加え生産する農家さんの高齢化により収穫が追いつかないなどの課題を抱えていた。
そこに目をつけ、農家さんから収穫し損ねた高菜のタネを買取り、「阿蘇タカナード」として商品化し販売している。
Comodo arts project/坂口美由紀氏
熊本市富合町出身。音楽・パフォーミングアーツ・美術を含めた広い意味での熊本のアートにまつわるものをつなぎ、環境を快適にすることを目指しComodo arts projectを結成。
「ずっと熊本の文化を見続ける人」を目指して活動をしています。
熊本の文化情報誌「ドコサ?」を発行しながら、クラシックなどの舞台公演の企画・制作・公演当日の運営サポートやフロントスタッフ業務なども行う。
初めて10年ほどで初めて好きなことを仕事にできていると感じ、今後もこのような活動を行っていく予定。
みなみあそ観光局/久保尭之氏
1991年生まれの鹿児島県出身。東京大学工学部卒、大手重工メーカーのエンジニア、東北の一次産業の産業復興支援を経て、熊本地震を機に阿蘇へ。
戦略統括マネージャー、阿蘇エリア全体の観光振興を図る阿蘇広域観光連盟の事務局や、阿蘇の星空を活用したアクティビティを行う会社、移住定住を促進を目的とした不動産事業など活動は多岐にわたる。
「頑張る人が報われやすい地域をつくる、地域の役にたつ観光産業をつくる」ために、阿蘇の産業の中心である観光産業のアップデートを目指し取り組んでいる。
パネラーの「エコノミック:ソーシャル:ライフ」の比率は?
今回のイベントで特に会場の関心が高かった、「エコノミック:ソーシャル:ライフ」の比重についてのお話をご紹介します。
佐藤氏
【エコノミック:ソーシャル:ライフ=2:2:4】
「阿蘇で暮らしたい」「じいちゃんばあちゃんの畑を作りたい」という気持ちや阿蘇の原風景を守りたいとう気持ちがスタート。そこから阿蘇タカナードが生まれる。
今後は、阿蘇の草原を守るべく羊の飼育をスタートしていく予定。
最初はライフ・想いからスタートし、その上で片付けないといけない地域課題に取り組むうちに、ソーシャルからエコノミー・ビジネスに変遷していったのが佐藤さんの特徴。
坂口氏
【エコノミック:ソーシャル:ライフ=4:5:1】
もともと、0:5:5だった。
まず自分自身をソーシャルビジネスの人だと思っていいなかった。
今日のお話を聞いた上で改めて、「ソーシャルだ」と思うようになったそう。
元々は芸術系のバックグラウンドではなく、芸術は見たり聞いたりするのが好きだった。
熊本の芸術に関して「どこで、なにをやってるの?」という課題があった。ただ、SNSの普及によりイベントの情報が増えていきすぎた時期があったが、芸術に特化した「ドコサ」にニーズを感じるようになった。
また、熊本地震を機に熊本を見過ごせない!見届けたい!という想いが強くなり、ライフソーシャルの比重が大きくなっていったそうです。
久保氏
【エコノミック:ソーシャル:ライフ=1:7:2】
地震後に移住したので「課題しかない」とわかった状態で熊本に移住してきたので、特に想いがあったわけではないのでライフの比重よりもソーシャルが高い。
「どうしたら社会がうまくまわっていくのか」「これからの時代に人はどんなことに生きがいにとして生きていくのか??」にとても興味があるそう。
山元さんから総括
ソーシャルビジネスはほっといたら絶対儲からない。
行政と市場の失敗の網から落ちた課題を「気づいた人が拾った」のがこの市場。
ただ続けていくためには収益化していく必要がある。
自分がいいなと思うところからスタートして、誰かのために役に立ちたい気持ちからソーシャルの世界に入っていくひとが多い傾向。
「ソーシャルに興味があって」からがスタートだと心が折れやすい傾向にあるが「誰かの力になりたい、感謝されたい、認められたい」というものがあってやり続けることができるのではないか。