• 面木健

くまチャレビト

オモケンパーク

面木健

Profile

『オモケンパーク』オーナー兼ディレクター。 2016年の熊本地震の影響で取り壊しとなり、更地となっていた上通りのオモキビル跡地に新しくリニューアルオープンした『オモケンパーク』。人々の「つながり」をもとに、新たな「賑わい」や「新しい価値」を創出していける場になることを目指している。

インタビュー*2021/01/26更新

 

生い立ち・経歴 〜実家は上通りで生粋の「街っ子」〜

面木ビルの歴史は100年、祖父の代から続いていました。大正時代は漆器をつくった面木漆工場。戦後から昭和53年までは面木屋靴店として賑わったそう。その後テナントを入れながら管理してきたが、熊本地震を機に建物を取り壊しオモケンパークを創設・運営している。

 

面木さんは高校を卒業し東京の大学へ進学。卒業後は化血研に就職し営業として30年、現在はKMバイオロジクス(株)の広報課とオモケンパークの活動を勢力的に行っている。

 

 

熊本地震を機に「オモキビル」を取り壊すことを決意。

 

熊本地震が起きてなんとか建物は建ってはいたが、ビルには壁にできた亀裂から外の光が差し込んできていました。

基本部分が木造だったので「次の地震が来たら大変なことになる。」この建物で家賃をもらいながらテナントビルを続けるのはちょっとリスキーだと思い取り壊すことを決意しました。

 

 

「パーク」構想は以前からの活動で。

 

大学の頃からマーケティングの勉強をしていたこともあり、大学時代に過ごした東京や一人旅で訪れたニューヨークなど多様で個性がある人たちとのコミュニケーションを通じ「どうしてこの街はたのしいのかな?」ということ感じ、まちづくりへの興味関心が深くなりました。

そんな中で出会ったのが、2016年にまちづくりの研究で訪れた全米で1番住みたいまちと言われるポートランドでもまちづくりの楽しさを感じることができた。
「Farm to Table」「by local」「物質的豊かさ」よりも、「精神的豊かさ」を大切にしているまちづくりを行うポートランド。
目指すところは”ポートランドのようなまちづくり”かなと思っていました。

ポートランドは熊本がお手本にするにはいい街です。
街のサイズ感も似ています。街の周りでいろんな農畜産物とかワインとかいいもの作られて、それが街中にぎゅーと集まってきています。熊本もそんな風にすればもっとよくなるんだろうなと思っていました。

父から継いだテナントビルを「さてどうするか?」と考えていたところに熊本地震。実はポートランド訪問の1ヶ月後でした。地震によって大変なことも多かったのですが、結果的にはよかったと思っています。

 

 

お弁当の持ち込みやアート作品の展示・ポップアップショップも積極的に開催。

新しい取り組みとしては、お弁当の持ち込みや、アーティストのzubeさんの作品を展示したり。(建物の)前もそうだし、屋上にも置いてます。

 

 

あとは熊本県立大学の学生と「ここの楽しい活用の仕方」をテーマにワークショップを開催しました。また熊本だけでなく、九州にも広げようとしていて、宮崎と宇城市の農家さんがコラボして、ポップアップショップを開催しました。

 

お弁当の持ち込みのサービスについては、コロナになって、テイクアウトをやるお店が増えてきました。リーズナブルな価格で、しかも実際食べてみると美味しいんです。

他店でこんなクオリティのご飯が食べれるなら、テイクアウトで購入した商品をうちで食べれるようにしたほうがいいんじゃないかと思い、はじめました。

 

面木さんの考える理想の街の姿とは?

街の姿まではイメージできませんが、まずは自分の場所を光らせること。なんだか居心地のいいところだなあと思ってもらえる空間をつくりたいと思っています。

若い人たちは最近、そもそも街に行かない。つまり魅力がないと思っているのではないでしょうか。

例えば、街では駐車場に結構なお金を払わないといけないけれど、ショッピングセンターは無料ですし、なんでもある。家族連れにはそっちの方が便利ですよね。

便利さだけで勝負したら街はショッピングセンターに勝てないけど、ショッピングセンターはECに勝てない。本当に必要なものはスマホでAmazonや楽天で探せば、何日後には届く。店に行く手間がかからない。絶対的に便利。

その「便利さ」という土俵での勝負を、街がしないことが大事だと考えています。

それで何が大事かと考えると、そこにいることが(居心地が)よかったとか楽しいなとか、別の角度で磨いていくことが大切だと思っています。

 

 

➖その考えを実践してみて、どんな変化がありましたか?

 

僕としては、自分たちそれぞれの過ごし方を見つけて欲しいと思っています。ここを普通に捉えてくれて、例えば長崎書店で本を買って、ここでゆっくり、季節がいい時だったら外で本でも読みながら2~3時間過ごそうかとか。

近くの保育園の子どもたちがお散歩コースとして、遊びにきてくれたりとか。あとはお年寄りの人たちが、早い時間から健康体操とかやって、お茶を飲んでいってくれるとか。パークカルチャーを作り上げたいと思います。

「みんなにとっての本当のパブリックとは何?みたいな。」

それができるためには、使う側の市民としてのシビック・プライド(民度)も上がらないと場が荒れてしまうと思うんです。すごい大変だと思うけど。ここに来る人は、割と意識が高い人が多いので。そのうちできるのではと思います。

ここは、大人数のグループが場を占有して使ってもらうというよりも、個人やカップル・ファミリーがそれぞれの居心地のいい場所として捉えて、それぞれに過ごしてもらえると嬉しい。
でも、ここにいる人達は他人同士であっても、同じ空間にある皆のことを慮っていて、何かあればさっと手を貸すとか。そんなみんなの意識の高いところで、空間が調和されるとか、そんな世界が熊本にあるといいなと。そんな人たちと一緒にコミュニティデザインをしていきたいと思っています。

まずは、街全体をどうするかというより、みんなが落ち着く・マインドフルになれる場所にしていきたいなと思っています。

 

 

 

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オモケンパークは、国内初のソーシャルデザインパークです。

オモケンパークが目指すのは、熊本地震以降深まった、人々の「つながり」をもとに、熊本に新たな「賑わい」や「新しい価値」を共に創出していける“場”となっていくこと。熊本らしい・自分らしいひとりひとりのライフスタイルだけでなく、持続可能な熊本の未来、日本の未来を共に考えるカルチャーを発信していく。そんな“自分たちの社会や暮らしを共にデザインしていく場所”でありたいという願いを込めて、私たちは「ソーシャルデザインパーク」と呼んでいます。

さまざまな文化やアートに触れるだけでなく、SDGsへの取り組みやSocial Goodな未来を考える場としてもさまざまなイベントやプロジェクトに取り組んでいきたいと考えています。

オモケンパークHPはこちら:https://omoken-park.jp/

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